大花火 1777HIT

おかしいと思いつつも止められない俺



俺は今、すごーく不思議なことがある。
不思議とゆーか不可解なことが。



「あっあんっ・・・う・やあぁ・・・やだぁ」

部屋に響く、下手なAV女優みたいなわざとらしい喘ぎ声。
信じたくないが、これは俺の発している声だったりする。
恥ずかしい。いや、男の野太い声なだけに寒い。
でも演技ではなく自然にこんな声が出てきてしまうのだ。
なぜ男の俺がこんな「あんあん」喘ぎ声を出しちゃって、しかも止められないのだろう?

「やなのか?祐介。嫌ならやめるぜ?」

笑いを含んだ声で意地悪く聞いてきたのは健さん。
健さんは俺の・・・・・・・・?なんなんだろう?
相手は男で、しかも四日前にパチンコ屋で偶然出会ったばかり。
それで・・・・もうバッチリHしちゃってる。
おかしいよな?
でも、自分でも不思議だけど全然嫌じゃない。
それどころか・・・・

「んん・・・やだ・・・健さん。そんなに・・・」

今まで俺の中の敏感な部分を責めたて、熱を煽っていた健さんの太い指がすっとずらされ動きを止める。
さんざん執拗にいじくりまわされたっていうのに、ソコは貪欲に更なる刺激を求めている。
もっと熱いものを・・・。

「嫌なのかぁ?どうされてぇんだ。ん?」

そんなの分かってるくせに〜〜〜!!
このエロオヤジめ・・・・・
自分で人のことこんな状態にしときながら、十分承知していることをわざわざ聞いてくるとは・・・。
健さんは俺の口からソレを言わせたくてしょうがないらしいです。
男から『おねだり』なんかされても、嬉しくもなんともないだろうによお〜〜!!
俺だってそんなの言うの絶対嫌です!

「健さぁん・・・お・れ・・・・」

もう限界なんだってば!
して欲しい。健さんの挿れて欲しい。
俺の奥まで全部、健さんでいっぱいにして。
感じ過ぎて焦らされて、すでに泣きの入ってる俺は健さんに目で訴える。

―――欲しい 欲しい 欲しい。挿れて。

健さんはニヤっと笑うと

「祐介?ちゃんと言わなきゃ分からねぇぜ?」

そんな鬼畜なことを言ってきた。
くうう〜〜〜っ!
やっぱダメ?言わなきゃダメ?
そうまでして俺なんかの可愛くもない『おねだり』が聞きたいんですかぁ!?健さんっっ!
すっごく不本意だが、焦らされ過ぎて俺は本当にぎりぎり限界状態。

「やぁ・・・け・・さ・・・・れ・・て・・」

ああ〜なんで俺はこんなこと素直に口走ってるんだ!?
もうホント勘弁してくれ〜〜〜俺が俺でなくなっていく〜〜
めちゃくちゃ恥ずかしくって、出来ることならこのまま消えて無くなってしまいたい。
なのに・・・

「祐介、聞こえねぇぜ。もっとちゃんと言ってくれなきゃな」

健さんが俺の耳の穴に息を吹きかけるようにして言う。
俺の大好きな艶のある低い声が、耳元から背筋を伝わり身体の奥まで、甘く痺れさせて俺を麻痺させる。
その低い声が少し掠れてるのは、健さんが欲情してるから。
俺に挿れたくてたまんないから。
だったら・・・・さっさと挿れてくれってーのっっ!

「いれて・・・コレ、俺の中に・・・・」

早く欲しくて、すでに堅く張り詰めた健さんのに手を延ばして扱いた。
だって俺我慢できない。
健さんも欲しがってるのに。我慢する必要なんてないのに。
ぴったりくっつきたい。
ずっとずっと、深いとこまで繋がりたい。
俺と一緒に気持ち良くなって欲しい。
だから、男が言っても気持ち悪いだけだろうと思われる寒いセリフを素直に口にしてしまうのだ。
健さんが言って欲しがってるから。俺の本音だから。

「きて・・・いれて。おねがい」

早く俺の中に。

「かわいいぜ祐介」

嬉しい。嬉しい。嬉しい。

「は・・・ん・・・・ああっ・・」

健さんがゆっくりと俺の中に入ってくる。
ソレがもどかしくて気持ち良くて、俺は腰を浮かせて期待してしまう。
押し広げて入ってくるモノの圧倒的な存在感と充足感に、限界な俺のアレもビクビクと震えて喜びの涙を流す。
奥までいっぱいになると、健さんの優しいキスが降ってきた。

「おめぇん中入ったぞ、全部奥まで。すげえいい・・・。祐介いいか?いくぞ?」

うん、動いて健さん。好き。俺もすごく気持ちいい。
もっと気持ち良くなろう?

「ん・・・・・健さぁん」

ぎゅっと締めつけて促すと、健さんが低くうめいて動き出す。

―――あ、あ、あ、あ、いい・・・きもちいい

健さんのが俺の中で暴れまくってる。

「は・・・うっ・・・・ん、ん、ん、」

感じるところを突かれて、内壁をいっぱいのモノで擦り上げられる。その刺激でもう理性なんてドロドロに溶けてしまう。
ひっきりなしに押し寄せてくる強い波にさらわれて。
俺はなりふり構わず声を上げ、健さんの動きに合わせるように腰を振って快感を追った。
気持ちいい。感じる。
もっともっと、ずっと奥まで来て。健さんも俺を感じて。

「祐介っっ」

「んっう、んんっっ健さ・・・」

ぐうっと広げられた足を持ち上げられ、肩に付くくらい折り曲げられる。
健さんが覆い被さってくちづけてきて、上から一気により深くまで差し込まれた瞬間、俺の全身をえも言われぬ感覚が駆け抜けた。

「はうっ・・・やっ、あっあっイク。先にでちゃうよお」

「いいぜ、何回でもイケよ。出しちまえ。俺ので感じてイっちまいな」

「―――ひっ! い・い・・ああっっっ!」

爆発寸前の俺のモノを握り込まれ、一番感じる先端を擦るように扱かれる。
同時に敏感な乳首をツマミ上げられた。
雷にでも打たれたみたいにビリビリっとした衝撃。
信じられないくらいの快感。
一層速まる動きに容赦なく腰を打ち付けられて、身体の芯から熱い塊が込み上げて来る。
俺はこのまま止まらないんじゃないかと思うくらい、長く長く放出した。
奥のほうから快感の痺れが尾を引いて全身に広がっていく。
あとはもう、ずっと続く快楽にむせび泣いて狂わされる・・・・。



ああ・・・・・・
またやっちゃった。
めちゃくちゃ体がダルい・・・・腰が痛い。
やばいよ、もうすぐ休みも終わって仕事始まるっていうのに・・・・
もう、もう、もう、俺ってば!
なんですぐあんなになっちゃうんだよ〜〜〜〜
おかしい、絶対おかしい。不可解だ。
あんなベタベタに甘々な声出して喘いで。
ノリノリで自分から腰振ったりなんかしてぇ〜〜!?
「いれて」とか「ほしい」とか「もっと」とか・・・
どーして俺は「おねがい・・・」なんて言っちゃって、カワユク『おねだり』なんかしちゃってるんでしょうか〜〜!?
ああ、泣きたい、俺。
自分がどんどん変態さんになっていく。
マンガとかコントとかに出てくるゴツイおかまさんになった気分。
俺は今いくつだ?24、もうすぐ25歳だぞ?
そんないい歳した男が、頬染めてそーんなセリフを・・・・
うおおおぉぉおお。さむい!寒過ぎる!(いや、部屋は暑いよ?もうムンムン)
おかしいのはそれだけじゃない。
俺は健さんに優しく笑いかけられるたび、どんどんおかしくなっていく。
胸がきゅーんとなってドキドキして・・・・
「かわいい」なんて言われると、ぎゅって抱きついて甘えたくなる。
はっきり言って気色悪いですよ? ふざけんなぁ!ですとも。
そんなの俺じゃなーーい!って、叫び出したくなるのに・・・
なぜか健さんの前だと、俺はマタタビ嗅がされた猫みたいにフニャフニャになってスリスリ擦り寄ってしまう。
それでもってキスとかしたくなって、自分からしてしまうのだ。
健さんは俺を抱きしめて情熱的にキスを返してくれる。
そうされると・・・パブロフの犬宜しく、俺は次の展開を期待しちゃったりなんかして・・・・。
挙句の果てにいっつもあーんなことになってしまうんだ!
あーー!俺の馬鹿!変態!く〜〜〜!

「祐介おめぇなに一人で百面相してんだ?青くなったり赤くなったりよ」

あう、健さん。

「おもしれぇ奴だなぁ。まぁそんなとこがかわいいんだけどよ」

はう、健さんの「かわいい」攻撃。
健さんは俺のこと「かわいいかわいい」って言う。
でも俺は自分のこと可愛くなんてないと思う。
だって何処にでもいる普通の男だし、特別華奢なわけでも美形なわけでもない。
性格だって『かわいい』なんていうのからは、かけ離れてる。
健さんは何を思って俺のことを「かわいい」なんて言うのか不思議だ。
それでもって、男のくせに男から「かわいい」なんて言われて、嬉しいって思ってしまう自分も。
ただ、健さんが俺に「かわいい」って言うときの目が、凄く優しいから・・だから・・・・

「健さん」

抱きついてしまう俺。

「祐介」

健さんがぎゅっと抱きしめてくれる。
そうされると胸がじんっとして切なくなってたまらなくなる。
でも、同時に凄く安心するんだ。
この力強い腕でずっと抱きしめてて欲しい。
俺のこと「かわいい」って、ずっと思っていて・・・
俺に優しく笑いかけて・・・・

そんな乙女なことを考えてしまう自分が嫌だ。
こんなベタベタに甘えてしまうのなんて駄目だ。
こんなの俺らしくない。
そう思う。
なのに、健さんに抱かれると蕩けて甘ったれな俺になってしまうのはなぜだ?

健さんに『いらない』って言われたら、俺はどうなっちゃうんだろう?きっと俺は立ち直れない。


「祐介。かわいいぜ」

「健さん


俺は健さんにキスをする。
健さんが俺のこと『かわいい』って言ってくれるから。
俺はきっと、健さんのこと凄く『好き』だから。


今・・・抱きしめてくれてる健さんの腕が・・・・・・

ずっと俺のものだったらいいな。



END





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